本の蜜月

本のことを書きます。

ミステリー

人形館の殺人/綾辻行人 館シリーズ、異色の4作目

ふとまた、痺れるような感覚とともに、私は奇妙な失調感に引かれ…… ……赤い空 …………黒い、二つの …………長く伸びた…… …………………………影が あらすじ・紹介 長い療養が明けた飛龍想一は育ての母・沙和子とともに、父の遺した京都の館へと移り住む。屋敷は二人が暮らす…

神様の罠/辻村深月ほか 人気作家6人のアンソロジー、コロナ禍を感じる作品も

辻村深月、乾くるみ、米村穂信、芦沢央、大山誠一郎、有栖川有栖の6名のアンソロジー。文庫オリジナル。 総評 どれも2020年以降の新しい作品。それぞれ独立した物語であまり共通点はなく、内容やトリックも、読んでいるときの気分や読後感もバラエティ豊かだ…

迷路館の殺人/綾辻行人 閉ざされた迷路の館の連続殺人、その驚きの真相

反響する自分自身の靴音に追われるように、足早になる。南へ戻る直線の突き当たりでまた立ち止まり、耳を澄ます。——静寂。 どうしても、何者かが今この同じ迷路の中にいるような感覚が消えないのだった。自分が歩くとその者も歩き出す。自分が立ち止まるとそ…

予言の島/澤村伊智 再読必至のホラーミステリー

変だ、おかしいとわかってても切り捨てられない言葉。 振り払いたいのに振り払えない、目に見えない力。それが呪いよ。 あらすじ・紹介 瀬戸内海の霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が、二十年後に《霊魂六つが冥府へ堕つる》という予言を…

水車館の殺人/綾辻行人 ゴシック風な嵐の館の王道ミステリ

ごとん、ごとん…… 重く響く回転音が、水煙とともにそれを巻き上げ、掬い上げた。 あらすじ・紹介 岡山県の山奥に建つ、三連水車を備えた古城のような館・水車館。車椅子の当主、藤沼紀一は仮面で顔を隠し、幼妻や僅かな使用人たちとひっそり暮らしている。先…

十角館の殺人/綾辻行人 一行の驚き、館シリーズのはじまり

何も知らずに、彼らはやって来る。何の疑いも恐れも抱かずに、自分たちを捕え裁く、その十角形の罠の中へ……。 あらすじ・紹介 K**大学推理小説研究会のメンバー7人が、十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を訪れる。事件のあった曰くつきの無人島で、春休み…